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第24話  

森岡翔は、まるで何も聞こえていないかのように、そのまま教室へ向かった。

 仕方がなかった。まさか、彼らに殴りかかっていけるわけでもない。それに、一人で3人に喧嘩を売るなんて、自殺行為だった。

 もう少し我慢しよう。限定生産のブガッティを手に入れたら、お前らに見せつけてやるからな。

 森岡翔は教室に入っていった。

 教室には、すでに大半の学生が着席していた。

 森岡翔が入ってくると、みんな好奇心いっぱいの視線で彼を見つめた。

 森岡翔が自分の席に戻ると、村上祐介たちが近づいてきた。

 彼らは、大学に入学した当初、1年以上一緒に寮で暮らし、ヒモ四天王を自称していた。仲の良い4人組だった。

 「翔!大丈夫か?」村上祐介が口を開いた。

 「大丈夫だよ。お前ら、何だよ?俺が自殺でもするかと思ってるのか?」森岡翔は答えた。

 「無事なら良かった。お前が落ち込んで、俺たちヒモ四天王の名が廃るんじゃないかと心配してたんだ」今度は、ヒモ四天王の一人である藤原豹が言った。

 「今の時代、三本足の蛙を探す方が難しいけど、二本足の女なんて、どこにでもいるぜ」ヒモ四天王のもう一人、周藤文華が言った。

 「もういいよ、心配しなくても大丈夫だって。俺が落ち込んでるように見えるか?」森岡翔は言った。

 「分かった、無事なら良かった。じゃあ、明日の夜、合コンしようぜ。もう手配は済んでる。場所は、明日の午後に連絡する。久しぶりに、みんなで集まろう」村上祐介が言った。

 「久しぶりに集まるのはいいけど、なんで合コンなんだよ?」森岡翔は尋ねた。

 村上祐介は、森岡翔の耳元で小声で言った。

 「安心しろよ、今回の合コンの相手は、うちの大学の女子じゃない。江南メディア大学の学生だ。あそこの芸術学部の子たちは、みんな美人だぞ。うちの大学の子とはレベルが違うからな」

 「なんで、お前、メディア大学の学生と知り合いなんだよ?」森岡翔は尋ねた。

 「俺、新しい彼女できたんだよ。メディア大学の学生なんだ。どうだ、すごいだろ?」村上祐介は、得意げに言った。

 「また?お前、彼女を替えるのが早すぎるだろ!お前みたいな浮気性の金持ちのボンボンがいるから、俺みたいな尽くすだけの男は、いつまでも報われないんだよ」

 「おいおいおい!!!俺を、高坂の野郎と一緒にしてくれるな!俺が遊んでるのは
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